ペットバードとして親しまれている多くの鳥は、野生では常に外敵に狙われている弱い立場です。
そのため、病気になっても症状を必死に隠そうとします。
飼い主様が症状に気が付く時には、既に病気がかなり進行しているということもよくあります。
早期発見・予防が非常に大事です。少しでもおかしいなと思ったら様子を見ずに早めに診察を受けていただくこと、また定期的に健康診断を受けていただくことをお勧めします。
こんなときはすぐ病院へ
新しく鳥さんをお迎えしたとき
現在ペットバードにおいて予防医療はほとんど確立されておらず、ペットショップやブリーダーからお迎えしたばかりの子は、ウイルス性や細菌・真菌性の疾患、寄生虫症など、様々な感染症のリスクに暴露されています。また、お迎えしてから新しい環境に慣れるまでの間はストレスなどから免疫力が落ちやすく、発症のリスクが上がります。新しく鳥さんをお迎えした時は、まず病院で健康診断を受けるようにしましょう。
羽を膨らませて寒そうにしている
鳥は体温が42℃前後と非常に高く、高い代謝でその体温を維持しています。体調が悪い時は体温の維持が難しくなるため、羽を膨らませて体温を維持しようとします(膨羽)。もし鳥さんが膨羽していたらすぐに保温(30℃前後)し、なるべく早く病院で診察を受けてください。
糞便や尿の状態がおかしい
糞便が軟らかい、色がいつもと違う、量が少ない。尿が異常に多い、血が混じるなど排泄物の異常は鳥の体調をダイレクトに反映します。糞便と尿の状態を日ごろからよく観察し、異常に気付いたら早めに病院にご相談ください。
呼吸が荒い、異常な呼吸音がする
鳥は空を飛ぶために呼吸機能が他の動物に比べ著しく発達しています。そのため複雑な呼吸器の構造を持ち、かつ非常に繊細です。そのため急激に悪化する場合もあります。
鳥は呼吸が苦しい場合、首を上に伸ばそうとしたり(スターゲイジング)、尾を上下に揺らしたり(テイルボビング)、開口呼吸をしたりします。
呼吸が荒くなる原因として、呼吸器の感染症、吸入性中毒、腹部の疾患、甲状腺疾患、心疾患などが疑われます。
上記の症状が見られたら様子を見ずにすぐに病院で診察を受けてください。
また、鳥の吸入性中毒を引き起こす可能性のあるものでおうちで気を付けたいものは、アロマ、テフロン加工のフライパン、たばこの煙、臭いの出る家電製品やビニール、工事や塗装の臭いなどです。これらのものには鳥さんを近づけないようにしましょう。
吐いている
嘔吐は胃炎や金属中毒、ウイルス性疾患など様々な病気により引き起こされます。鳥は嘔吐をすると頭部の羽が汚れます。頭や顔が汚れて、ケージに餌が飛び散っていたら嘔吐をしている可能性が高いです。
このような症状の場合、糞便検査やそのう液検査、必要に応じてレントゲン検査や血液検査などを行います。
繁殖させてないのに産卵する
鳥にとって産卵そのものは正常な生理現象ですが、飼育下の女の子の鳥は発情過多になりやすく、産卵をさせ続けていると体に負担がかかり、様々な病気を引き起こし、寿命を縮めてしまいます。産卵のリスクは人間の出産と同じようなものです。
一度生殖器の病気になってしまうと、助からない場合も多いです。適切な発情抑制をすることで病気を予防することが大事です。
元気そうでも産卵をしたら一度診察を受けてください。